勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

入院費用の見積もりは必要か?

 今年も残すところ僅かになり、例年、この時期に発表される「2017年のヒット商品」情報も明らかになった。来月には、「新語・流行語大賞」や「今年の漢字」が発表され、2017年は終わる。今年の注目ニュースは、「森友・加計問題」だと答える人が多いはずだが、加計問題に至っては、つい最近、開学の認可がおり、4月開学に向けて準備が進められている。国民の必死の抵抗は届かず……。一体、この学校にどれだけのお金が国から動くのだろうか?という疑問が残ったままだ。

11月の「がん哲学カフェ」は20日開催され、この日のテーマは、「入院費用の見積もりは必要か?」。私たちは病院に入院する際、入院受付で高額療養費制度などの制度上の説明を受け、病棟で担当の看護師に「入院療養計画書」を説明され、どれくらいの入院日数になるかなどの説明を受けるが、自身が受ける手術代は幾ら位で、投与予定の薬代がどの位になるかはわからない。にもかかわらず、大方の人が情報を開示することもなく、かつ請求されたものに対して違和感を抱かず支払っているのが現状だ。大体の予想でお金を準備しなければならないというのに。

しかし、家のリフォームをしたり、水道工事などをしたりする場合はどうだろうか? 必ず見積もりを数社に出してもらい、納得した上でどうするかどうか決定しているものだ。

何故、医療を受ける場合、医療を受ける側(患者)が見積もりを求めることがなく、医療側も出す習慣がないのだろうか。これがあれば、患者は便利なのは言うまでもない。

 

メンバーで議論した結果は次の通り。

(医療従事者)
以前、入院した際に見積もりをだしてくれと要求したら、大変驚かれた。薬剤師という仕事柄、自身に投与される薬が何かは当然しりたいので当然の権利だと思う。基本的に自分の体内に入れたモノは何であるか開示して欲しい。医療を受ける側も、重篤な状態になるまで、医療上の制度のことを知ろうという努力をしていない現実は見逃せない。

(がん患者の家族)
昔、自身が前がん状態で検査入院した際、病院の説明した入院日数と実際の日数があまりに違うので驚いた。手術や治療内容に問題は全然なかったが、ちょっと釈然としなかった。 がん患者の家族が入院した際は、大変高度な技術が必要な手術をすることになり、手術費用はどの位かかるのか心配だったが、こちらから「手術費用は幾らですか?」と聞けず、病院側からも特に説明はなかった。そういうものだと思ったが、見積もりを出してくれるのなら好都合だと思う。

(がん患者)
入院時に制度上の説明は確かに丁寧にしてくれるが、手術費用や投与される薬の内容など、もっと具体的な説明が欲しい。

 

 自身の治療費にかかる経費はどれほどかを把握している人は少なく、その事実を不思議に思わない人が大多数だ。医療費の削減が叫ばれて久しいが、大量の抗がん剤が余って廃棄されているという矛盾。まずは患者側の治療費に対する意識を変えることが大事なのは言うまでもない。

 セカンドオピニオンが定着し、自身が望む医療を自由に選べるようになった。今度は、自身の医療費を選び、かつ、きちんと知る権利が必要だ。

【2017/11/20 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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