GWは終りましたが、観光地浅草は外国人であふれています。5月の浅草は恒例の三社祭があるため、外国人観光客だけでなく全国各地からも祭り見学者でにぎわいをみせました。神社仏閣が多い下町は、これから夏まつりがあちこちで行われます。祭りのニュースがランキング上位にあるということは、平和の象徴だとつくづく思います。
……千葉県の路上で高齢女性が15歳男子に視察された事件がありました。この少年の「少年院にはいれば家をでられるから(殺せる人なら)誰でもよかった」という動機を聞いた方々は情けなさ・空恐ろしい気分になったことでしょう。愛知県で16歳の孫が祖父母を殺害した事件では、少年は「人を殺してみたかった」と供述し世間を驚かせました。可能性にみちた若者たちが何故このような事件をおこしてしまうのか。過去にも類似事件があっただけに怒りを通り越して虚しさを覚えてしまいます。
毎月開催の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来哲学メディカルCafé」(以下、「がん哲カフェ」と表記)5月度は5月12日夜に開催されました。この日の参加者はリアル参加者(ゲストも含めて)4名、オンライン参加者3名で、それぞれの仕事を通じて感じることとして、「世代間のギャップについて」話し合いました。
5月は入社したばかりの新入社員が多く退職する時期でもあり、近年よくニュースで報道されています。最近みた新聞では、固定電話に不慣れなSNS世代が会社にかかってくる電話応対がプレッシャーになり、そのことが退職の理由にもなっているそうです。そして、退職する際は面倒な手続きを省略するために退職代行業を利用する方々が多い傾向にあります。会社人生最後の日に送別会があったり、花束を抱えて電車にゆられ新しい人生計画をたてたり、お世話になった職場の方々に別れの挨拶をしたり……という光景は昭和の遺産(?)なのでしょうか。
浅草のがん哲カフェのメンバーは、私以外は医療・介護従事者です。別のコラムでも書きましたが医師不足の問題はなかなか解消されず、医療の現場が大変なので楽に高給が保証される美容医療業界に従事する医師が増えているのが現状です。また、看護師不足も深刻な問題で、訪問介護ステーションが閉鎖せざるを得ない事情が後を絶ちません。がん哲カフェの主宰者である宮原富士子さんは訪問薬剤師として百名ちかい患者さんをみていますが、訪問介護の現場における問題点をあげ、医師・看護師・薬剤師・ヘルパーなど様々な職業のスタッフの効率的な連携を指摘しました。
医療従事者のほとんどが忙しく働いている中で、オーバーワーク気味の人もいれば、仕事がおわらなくても時間がきたら「時間だから帰ります」とさっさと帰る人もいます。多様性を重視する社会では、考え方や働き方はそれぞれですから尊重されるべきではありますが、チームで患者さんをみる場合、一人の事情を優先させられるものではありません。
若い方々を指導する立場にいる方や仕事に情熱をもって働く方にとって、あれこれ言うと「パワハラだ」と言われたり知らぬ間にSNSで発信されたり、結果として世代間のギャップという悩ましい問題があります。
医療現場の崩壊を危惧する声が多い中、がんに罹患する方々は増える一方です。私は医療者ではありませんが、がん哲カフェの活動を通して知り合った方々は、いわゆるまじめ/がんばり屋/人の世話が好き/更年期または老年期世代が多い/ということを知っています。それだけに作業量がふえてもやりとげ、時にバーンアウトしてしまうこともあるようです。
がん哲カフェはがん患者さんやその家族を支援することを目的としていますが、カフェに集う<がんばる医療・介護従事者>を支援することも大事だ、という認識を強くもちました。
※一般社団法人がん哲学外来 http://www.gantetsugaku.org/index.php
【2025/4/7 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)