勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

お節介と迷惑の微妙な関係について

 先日、朝おきた時、手の違和感があったので懸命にケアしましたが、翌日、やはり同様の 症状がありました。寒暖差の激しい気候のせいなのかと思い、それでもちょっぴり気になったので同世代の友人知人に報告したところ、一斉に「あるある、私もそう!」という返事。自分だけでないことに安心したものの、これがよくCMでやっている「手のこわばり」という症状だと納得し、確実に次のステージに足を踏みいれたことを悟りました。自分には 関係ないわ!と思っていたのに……残念!
 早速、毎月開催のロコモ体操でご指導いただいている整形外科医に相談し、自宅でできる 簡単エクササイズを教えていただき、毎日はげんでおります。おかげで朝は違和感があり ますが日中はありません。それなりに生きてまいりましたため手の症状だけではなく、 お肌や髪の毛などあちこちに変化が生じており、あれこれメンテナンスが必要です。手が 痛んでお箸がもてなくなると困りますし、足が痛いと移動が不便ですから、できるだけ 快適に過ごせるようにガタのきた身体をいたわるつもりです。
  規則正しく季節がうつろうように、生きている者も着々と老いへむかっているのですから抗わず「素敵なオバァチャン」をめざそうと覚悟をきめました。

★「浅草渡曾 美しく立つロコモ道場」情報はこちら
(年内は、11/2(水)、12/7(水)共に18:30からリアル/WEB同時開催)

 2022年10月度の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」の 「オンライン がん哲学メディカルCafe」(以下、「がん哲カフェ」と表記)は、 10月24日に開催されました。
  この日の話題はなんといっても、旧統一教会との関わりを否定し続けた 山際経済再生相が遂に辞任するというニュースです。「記憶にございません」という 聞きなれた弁解を続けておられましたが、「結果として政権に迷惑をかけることに なった……」というコメントを残して。「メイワク」ねぇ~、賃金はあがらないのに 物価高で不安を覚えている国民に対して、国会でこんな問題ばかりに時間をさいて メイワクをかけたとは思わなかったのでしょうか……!?
  さて、この日のがん哲カフェの話題は、「迷惑とは何なのか?」でした。 あまりにも抽象的すぎてストレートに問題提起されると、どう答えたらいいのか、 確かに参加者は言葉に窮している様子でした。
  「在宅療養の現場で他者の迷惑にならないように『迷惑になりたくない』『迷惑では ないでしょうか?』といった言葉を連発し気遣いをみせる患者さん(特に高齢者)が 多いように思うが、実はそういう人が迷惑をかけているような気がする」。
  がん哲カフェ主宰者の宮原富士子さんが現場で感じたこの問いを問題提起し、皆で 考える時間を持ちました。

 「がん哲学外来」が抱える活動理念のひとつに、「偉大なるお節介症候群」があります。言うまでもなく、がんで苦しむ患者さんやそのご家族に対して関心をもつことに始まり、「気づく/声をかける/傾聴/つなげる/見守る」といったゲートキーパー的な役割を包括するものです。しかし、生活のあらゆるシーンで気を付けなければいけないことは、
  人の数ほどホンネがある以上、自分の行為が他者にとって迷惑となる(思われる) 可能性があることです。自分は「偉大なる」と満足していても、相手にとっては 「余計な」となる可能性は十分にあり得ます。医療・介護の現場での参加者の思いは 次の通りでした。

〇「迷惑」はその人の考え方次第、主観と客観の差がある。
〇他人事を当事者意識にもっていくことが大事。そのためには気づきが必要で、 人の気持ちがわかる(敏感になる)ことが必要。
〇病院が休診日や休憩時間になると問い合わせができないため、かかりつけ薬剤師で ある自分のところに連絡してくる患者さんが多い。仕事だから対応するが、就寝して いる時にかけてくることもあり迷惑に感じることも確かにあるが、かかりつけ薬剤師としての使命だと思っている。
〇「迷惑をかけたくない」という思いはホンネであろうとそうでなかろうと、その 言葉は現場の緩衝材になっていると思う。
〇迷惑をかけたくないが、「私をうけとめてほしい」というサインだと思う。

*一般社団法人がん哲学外来
http://www.gantetsugaku.org


  生命を扱う現場で働く人たちは、お節介根性がベースにあるのは当然ですよね。 ところで私、自分の手のこわばりが気になっているものだから、先日、親しい友人に メールを送りました。
  「あなたねぇ、エステで顔ばっかケアしていないで、お箸がもてなくなるとごはんが 美味しく食べられないわよ。手のエクササイズ(教材)おくるから、隙間時間でやってみて」。
  すると、いつも返信のおそいその友人からすかさずリアクション。
  「ありがとう、だけど余計なお世話です! 目下の私の関心事は顔のシワ、シミ、 目の下のたるみをなくすことです!」。むかついている様子、失敗!
  お節介は難しい、気を付けなくっちゃ~ね!

【2022/10/24 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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