勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

人生は何があるかわからないから

 7月7日は「七夕の日」のため、各地で町内会主催の「七夕まつり」が開催されました。子どもの頃とちがってあまり願い事をしなくなったためか、暑さでへとへとになっているためか、正直、ある時期からこの日に特別な思いはありません。
 そんなわけでこの日、自宅で仕事をしておりましたら気になるネットニュースに目がとまりました。「令和7年7月7日」、この日は「平成7年7月7日」以来30年ぶりの縁起の良い数字にあやかって、東京都内の役所では多くのカップルが婚姻届の提出ラッシュがおきたそうです。ちなみにこの日の東京都心は、今年初の35度以上の猛暑日となりました。縁起がよい→ 御利益がある→ 自分の望みが叶う、という考えでしょうか?

  毎月開催の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来哲学メディカルCafé」(以下、「がん哲カフェ」と表記)7月度は、30年ぶりの「スリーセブン」となった7月7日夜に開催されました。
  今月のがん哲カフェは、オンラインとリアル参加のハイブリット開催で、主宰者の宮原富士子さんから、「人生会議(ACP)はがん哲カフェによって変えられるかもしれない」という意見があがり、参加者で考える時間となりました。

 ACP(アドバンス ケア プランニング)は、どこでどのように医療介護を受けるかを(元気なうちに)考えることで、「人生会議」という仰々しい言葉で使用され、近年ブームになっている「終活」とセットで用いられているような気がします。 確かにおひとり様社会では、自身の人生の最期は不安を覚えるもので、心おきなく死ぬためには周辺整理をすることは必要です。独り暮らしではない方も自分がなくなった時に、子どもたちに迷惑をかけたくないから、と普段から断捨離をする方も多いことでしょう。
  がんなどの厄介な病気に罹患した場合はどうでしょう? ACPを用意しておくと医療者側では治療方針がすんなり決定できるため好都合といえるでしょう。 しかし、誰でもがすぐに決定できるものではありませんので、さっさとACPを決めないといけないという風潮になると、闘病中の方にとってはストレスとなる可能性も否めません。また、一度きめていても人生は何があるかわかりませんので修正する可能性もあり、“決めない自由”があっていいと思います。

 ALP(アドバンスライフ プランニング)は、自分はどんな人生を歩みたいのか考えることで、ACPよりも敷居が低く(?)おそらく誰でも自身の人生設計として一度は考えたことがあるはずで、他者から「迅速に、決定を、促される」ようなことはなく、自分の人生は自分で考えて決める自由があり何の問題もありません。
  横文字表記が思考停止や混乱を招いているのかもしれませんが、つまるところ、人生の最期を考えるACPよりも、健康な時から人生観や死生観をもとに自分の人生をしっかり設計していくALPの方が、まずは大事だということですよね。

 七夕の日に願い事をしなくなって久しいですが、地元民として浅草の「ほおずき市」には必ずお参りにいき御利益に期待します。がん哲カフェ開催日から数日後、今年もいきましたが、雷よけお守りの値段があがっていて驚きました。あちこち不調を抱えておりますが幸いにも深刻な健康問題はありませんので、どうか物価と気温が高くなりませんように、できれば下がりますように、とお願いしてきました。

※一般社団法人がん哲学外来 http://www.gantetsugaku.org/index.php

【2025/7/7 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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