勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

がん教育実践者の声に学ぶ

 世の中的に4/29~5/7、9連休をとる(とった)方々が多いことと思います。実は私、これまで一度も一週間以上の大型連休をとったことがありません。会社員時代はカレンダーどおりでしたし、現在の仕事(フリーランスライター)は「自分で都合をつければよさそうなのに?」とよく友人知人に言われますが、残念ながらご縁がないまま現在にいたっております。そんなわけで、GWを半分仕事・半分雑事で過ごすスタイルに慣れているせいか生活圏が静かになるのは気に入っております。
  5月の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」の「オンライン がん哲学メディカルCafe」(以下、「がん哲カフェ」と表記)は、カレンダー通りの連休をとっている方は仕事に勤しんだ5月2日に開催されました。

 この原稿を書いている5月6日、朝刊の一面には、WHO事務局長が「コロナ緊急事態終了」を宣言したという記事がでかでかと載りました。もちろん、まだウイルスが根絶されたわけではなく、新たに変異株が出現する可能性もありますが、他の感染症と同じような扱いになるという局面に(遂に!)移りました。3年間も「危機対応」が続いたことを考えると、本当によくがんばったな~!という思いでっぱいです。
 観光地(浅草)に住んでおりますため、賑やかなエリアに足を運ぶと、コロナ禍3年間の鬱憤をはらすがごとく、人が増え賑わっております。日常が戻ってきたことは嬉しいですが、油断は禁物ですよね!
 すると今度は、石川県能登半島を震源地とする震度6強の地震が発生し、悲しいことに死亡者がでてしまいました。この地方は少し前から地震活動が活発になっていましたから予兆はあったのですが、改めて、地震大国にすむ私たちの敵はウイルスだけではないことを思い知らされました。被災地の皆様、どうか気を付けてお過ごしください。

 話を戻して5月度のがん哲カフェの日、愛知県名古屋市のがん哲カフェ「がん哲学外来シャチホコ記念」代表を務める彦田かな子さんが、「がん教育実践者に学ぶ」というお題で自身の経験・活動を話されました。ちなみに彦田さんは、がんサバイバーの一人、3人の子どもを育てながらがん闘病の経験をもっています。
  浅草のがん哲カフェ主宰者、宮原富士子さんは薬剤師という仕事柄、薬局という場で地域住民の健康を守る活動や、女性という立場上、特に女性の健康を守る活動を展開しています。その一環として「がん哲学外来」「がん哲カフェ」がありますが、国民病となったがんという病を考えると、もっと広く深く、人生の早い段階からがんに特化した教育が普及することの重要性を感じています。
  性教育について子どもたちに教える内容は、地域や学校によって違うようです。
  がんは成人男女、特に高齢者が多く罹患するように思われがちですが、小児がんや遺伝性のがんに罹患する子どもたちが少なくないという事実があります。医療の進歩によりひと昔ほど怖い病気ではなくなり、生活習慣を整えることでがんを予防できることがわかってきています。性教育と同じように学校生活の中で「がん教育」があればがんについての正しい知識が身につき、自身や家族など大事な人ががんに罹患してもさほど驚かずに対応できることでしょう。
  日本対がん協会のHPを調べますと、既に幾多の学校でがん教育を展開しています。

※日本対がん協会 https://www.jcancer.jp/cancer-education/index.html

 彦田さんは、名古屋市で「がん哲学外来シャチホコ記念」を主宰しつつ、2015年から、東海地区の小・中・高校でがん教育を外部講師として教える仕事もされています。また、2022年4月からは、図書館という公共施設を利用してがん教育を連続講座で教えています。社団法人がん哲学外来の会員向けセミナーでも、今年3月に講和「がん教育の現状と課題」というテーマで話してくれました。
  子育て中にがん闘病を経験したことを機にがんに絡む仕事に力をいれる彦田さんは、まさに“努力の人”。がん哲カフェ運営の大変さを感じながらも、がん哲カフェ絡みで知り合った方に勧められ、がん教育指導者の道をもスタートさせました。学ぶ、意見をいう、議論する、啓発活動をする……自身が望む社会の実現のためには、行動ありき!
  辛く苦しい経験があったからこそ、その声は聴く者の胸深く響いていることでしょう。

 

※一般社団法人がん哲学外来 http://gantetsugaku.org/learning/

【2023/5/1 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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