勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

無心になる時間を持つ

 猛暑は続く。「暑い! 早く涼しくなって欲しい」という思いで一日が過ぎてゆくのを待っていたら、そういえば今夏は「平成最後の夏」なのだと気づく。そう、来年、元号が変わるのだった。同時に地球温暖化の問題もクリアできないだろうか……。

 8月の話題は、お盆の時期、山口県の山中で行方不明となった2歳児を、大分県からかけつけた凄腕ボランティアの小畠さん(78歳)が発見・救出したことではないだろうか。大勢の捜索隊が探索したのに手がかりなし。そんなところ九州からかけつけた小畠さんは、たったの30分で見つけた! 数々のボランティア経験からくる知恵と勘によるものだろうが、賞賛に値する奉仕の精神。救出された子どものご家族だけでなく、このニュースを見聞きした日本人にとって、まさにヒーローそのものである。口ばかり達者で汚いことばかりするお偉い方達に見慣れているせいか、名もなき市井の人々を無私の精神で助ける小畠ジイサン人気は高く、しばらく80歳近い老人は「時の人」となった。この手の話は微笑ましい。

 連日大地が怒っているような状態だったが、8月中旬、数日ほど秋の気配を感じる涼しい日もあった。8月の「下町(浅草)がん哲学外来」の「がん哲学カフェ」(以下、「がん哲カフェ」が開催された20日は、やや湿気はあったが涼しかった。

 がん哲カフェのメンバーは、日常的に「がん」に関わっている医療関係者、がん患者、がん患者の家族など様々。がん哲カフェでは、テーマをきめての自由討論や読書会を行っているが、この日は、絵手紙を集まったメンバーで作った。

 闘病中のがん患者さんや彼等を支援する立場にいる方たちにとって、リラックスするために必要な手段として塗り絵や絵手紙などを作成し、無心になる時間を持つことの大切さを感じているからだ。勿論、がんに関わっていなくても仕事や人間関係などでストレスを覚えたり、不安や怒りなどの感情でイライラしたりといった人は多くいる。

●何かに没頭する(無心になる)時間を持つ→ 集中する→ その時間、雑念を忘れることができる。

●結果、リラックス・ストレス解消効果が期待できる。

●さらに、自然治癒力を高めることができる。

●病気治癒

 ということも不可能ではない。無心になる手段は、他には次のようなものがある。

○創作系(絵画、小説、エッセイ、俳句など)
○趣味系(読書、音楽鑑賞、カラオケ、陶芸、楽器演奏、編み物など)
○スピリチュアル系(写経、座禅など)
○エクササイズ系(ヨガ、ピラティス、ダンスなど)

 抗がん剤服用中のがん患者さんの副作用対策(倦怠感)としてヨガが推奨されているが、身体を動かし体力維持に努めながらリラックス効果が期待できるのだから一挙両得といえる。現代人はストレスとは無縁ではない。しっかり深呼吸してリラックス、無心になる時間を確保して、明日への活力としたいものだ。

【2018/8/20 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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