勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

コロナの時代を生き抜く          
~がん哲の精神に通じるアーユルヴェーダの理念~

 東京オリンピック開催にあたり森会長(元首相)の女性蔑視発言に端を発した後任選びと新型コロナウイルスワクチン接種。この2つの話題で持ちきりだったところ、2月13日夜、「3.11」の余震とされる地震が発生し、首都圏は震度3~4を記録し、しかもやや長い地震だったためヒヤリとしました。10年前の大地震を忘れたわけではありませんが、パンデミックに直面しているだけに頭の片隅にあった記憶が薄れて(?)しまい、“まさかの地震”と驚いた方が少なくないのではないでしょうか。 2021年2月の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」の「がん哲学メディカルCafe」(以下、「がん哲カフェ」と表記)は、地震が発生した2日後の2月15日に行われました。 この日の講師は大阪で「メディカルカフェ あずまや」を主宰するあずま在宅医療クリニック医師の東英子先生で、5千年の歴史を誇るインド・スリランカの伝統医学であるアーユルヴェーダについて、喘息をアーユルウェーダの薬で治した経験を含めてお話されました。2回連続の最初の回は、「アーユルヴェーダのお話 ~その1~」で、テーマは「健康な人の健康を守る」。

 世界的にみると、新型コロナウイルス感染者数首位はアメリカで、2位は3億人が感染したといわれるインド、次がブラジルです。インドは人口13億5千人の国、ここではアーユルヴェーダは医療とされており、実際に専門医師80万人、アーユルヴェーダスタッフおよび「Asha」と呼ばれる保健師が8万人近くいると報告されております。日本では民間医療扱いですが、アーユルヴェーダの教室や講座などはあちこちで開催されています。
  アーユルヴェーダは、サンスクリット語のアーユル(生命・寿命)、ヴェーダ(科学・知識)から来ており、生活健康法として受け継がれてきました。西洋医学とは違い、病気の症状を取り除くことが目的ではなく、より健康に長寿や若さを保つことを目的とした予防医学です。食事法や健康法(ヨガ・瞑想)といった日常生活に関わるものから生命そのものまでを科学する医学でもあります。
  免疫を高める疾病予防の考え方は、コロナ禍の中、上手にとりいれ健康維持につとめたいですね。

 アーユルヴェーダの教えでは、有益な人生・幸福な人生とは、心身共に病気におかされていないことで、健康には消化力が大事とされています。健康を維持するための1日の過ごし方については、下記の事柄を実践することが大事とのこと。

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早起き
排泄と洗顔
目のケア
鼻のケア
口腔ケア
オイルマッサージ(頭・耳・足の裏)
食べ方
運動
入浴

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 東先生が実践している鼻のケアは、ゴマ油による経鼻法(ゴマ油を綿棒につける)。口腔ケアは、ゴマ油によるうがい(ゴマ油を口いっぱいに含んでうがい→虫歯予防、粘膜に潤いをあたえる効果が期待される)。忙しい毎日にあっては身の回りのことも食習慣も時短ケアを選んでしまいがちですが、ひとつひとつを丁寧に実践していくことが病気予防に繋がりそうですよね。

 がん治療には、標準治療を基本として運動療法や食事療法を補助的に取り入れることが理想ですが、中には漢方薬、瞑想、ヨガなどを補助療法として採用する医師も多いようです。 人間本来がもっている力を日常生活において自然の力で引き出すというアーユルヴェーダの考え方は、がんが日常にはいってきて弱った心身を哲学(気持ちのもちかた)でリカバリーするというがん哲学外来の基本理念に通じますね。また、アーユルヴェーダの時間感覚(ゆったりと生きる、あせらない、あくせくしない)も、がん哲学外来の精神に通じるものです。

 だからといって、ここで私はがん治療にアーユルヴェーダを使用しなさいと勧めるものではありません。(がん哲カフェは営業活動をするものではなく、がんと闘う人の本来もっている力を引き出す場所。)がんのステージや本人の体質および考え方などによって治療方法はそれぞれ異なります。がんに限らず病気を治す基本は日常生活にあり、健康な心と精神は自分がつくるものだと思います。

 コロナに感染したくないし、花粉症もしんどい。ムズムズしそうですが、早速、東先生が推奨するゴマ油で鼻と口のケアをすることにします。みやちゃんが薦める「太白ごま油」を買いにいかなくては~!

【2021/2/15 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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