勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

大事をなした歴史上の人物の人生哲学(生き様)を知る

 スーパーには既に正月用品が並ぶようになり、11月下旬現在、今年も残すところわずかとなったことが、日々実感としてのしかかってきます。既に2か月先のスケジュール要調整案件がはいってきて、メモ帳を新しくしなければいけないのだ~と気づき急ぎ購入に走りました。そんな折、これまでは初夏開催だったWカップサッカーが開催され、W杯の中でもサッカーは(私の中では)一番人気だけに、またしても睡眠不足の日々になることが予想されます。

 2022年11月度の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」の「オンライン がん哲学メディカルCafe」(以下、「がん哲カフェ」と表記)は、日本国内がWカップサッカーの話題でもりあがっている最中の11月21日に開催されました。
  全国各地のがん哲カフェに集う人が年々増える中、それに比例してがん哲カフェを自ら運営したいと思う方々が増えてきています。そんな方々を対象にした「コーディネーター養成講座」があり、受講し突破された方は「がん哲学外来コーディネーター」のパスポートを取得することができます。しかし、「がん哲学」について何も知らない状態で足を運ぶのではなく、せめて基本のキぐらいは学んだ上でチャレンジしてほしいというのが正直な感想です。
  当会(浅草のがん哲カフェ)に全国から集うメンバーのほとんどは、たまに初参加者がありますが、ほとんどが長くカフェに参加されている方々です。そこでこの日は、カフェを運営するためにはどんなことが必要かについて話し合いました。
  医師で「大阪がん哲学外来 メディカルカフェあずまや」主宰者の東英子先生は当会の常連。この日は、参加者が原点に立ち戻って「がん哲学外来」を学ぶために、「ACPと意思決定」という題目で医療・介護の視点から話されました。当会以外にもカフェの運営に携わっている江川さん(渋沢栄一記念王子・吉田松陰記念北千住がん哲学外来カフェ主宰者)は、「勝海舟の言葉の処方箋 ~77年の生涯を追う~」という題目で歴史と哲学をテーマに話してくれました。

 当会のメンバーとなり6年目の私は、台東区住人なので当会を選び、最初の面談(主宰者の宮原富士子さん)で、

 とてもしっくりきた、
 じっくり話をきいてくれて嬉しかった、
 居心地がいい、
 医療・介護スタッフが多く情報が得られる……等々。

 自分にとってマイナス材料がひとつもなかったため現在に至っております。もし、居心地が悪かったならば、他の地区のがん哲カフェに足を運ぶことになっていたのかもしれません。
  つまり、がん哲カフェの運営に携わる立場にあるならば、当然ですが雰囲気作りや継続のための努力や工夫が必要となることは言うまでもありません。初めてカフェを訪れる方の話に耳を傾けても、解決のできないこともあるでしょう。悩みや不安は人の数だけあります。がん哲学外来絡みで出版された書物には、心に響くたくさんの言葉の処方箋がありますが、すべての人が同じ言葉に感動し癒されるわけではありません。 それだけに、訪れてくる方々の直面する問題を解決できる引き出しの多さが必要となります。そのために、がん哲学外来についての基本を正しく理解することは最重要課題です。

 歴史研究家の江川さんは、
  「好きな歴史上の人物がいたら、その人の歴史(生涯)を正しくしることが大事。その人物の発する言葉はその人の生き様そのものであり、困難を乗り越えた知恵が私たちに勇気を与えてくれる」と話します。
  そういえば子どもの頃、親や学校から最初に薦められたのは世界の偉人の伝記でした。近所の友達の家にいくと、古今東西の偉人の伝記がずらりと並んでいる立派な本棚があり、私はそれを借りて読んだものです。学校の図書館にも、キリスト、リンカーン、ガンジー、エジソン、キュリー夫人、ナイチンゲールといった大事をなした歴史上の人物たちの伝記が並んでいました。
  現在の子どもたちは、誰の伝記をよみ、誰のどんなところに共感しているのでしょうか?
  2023年のNHK大河ドラマは、徳川家康の生涯を描いた「どうする家康」で、松本潤さんが主役を演じます。徳川家康の生涯には、織田信長と豊臣秀吉が深く影響していてはずせません。乱世を生き抜いたこの武将たちの生き様はよく比較されますが、そういう視点で読み解くのも歴史の楽しみ方でしょう。

 この原稿を書いているのは、Wカップで日本が強豪ドイツを撃破した日の翌日です。前半負けていたので、敗北を予想し後半戦を観戦せずに眠ってしまい、翌朝勝利の歓喜にわいていて驚きました。こういう感動は何度でも経験したいものです。
  国の威信をかけて戦う大会では、ユニフォームを脱いだ元選手たちが監督として参加していることが多々あり、かつてその選手のファンだった方々には嬉しい限りです。たくさんの経験を積んだ彼らがさらに研鑽を積み、今度は指導者として才能を開花し、次世代の選手たちを導く……。しかし、引退した選手たちの全てが同じコースを辿ることができるわけではなく、学びと努力を継続した者だけの特権であることは言うまでもありません。 すごいことをやってのける偉人たちから目が離せませんね!

<9月カフェコラム一部>
浅草のがん哲カフェの主催者である宮原富士子さん、メンバーの一人である江川守利さん(渋沢栄一記念王子・吉田松陰記念北千住がん哲学外来カフェ主催者)、そして当会の常連でもある東英子さん(医師/大阪がん哲学外来メディカルカフェあずまや主催者)は、「一般社団法人がん哲学外来」新体制に伴い理事に就任され、益々精力的にがん哲カフェの普及に活動されることになりました。

【2022/11/21 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

アーカイヴ