勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

情報の発信、あるいは保護・守秘することについて

 4月になると地域の行事も本格始動し、コロナ禍では中止を余儀なくされていたものが今年は開催となるものが多いようです。もちろんまだ油断はできませんが、マスク着用についても個人の判断に委ねられるようにまでなりました。がんばってきた自分をねぎらってあげたですよね! 特に、中学や高校生活の3年間をフルにコロナに支配された方々のことを思うと気の毒でなりません。後に青春時代を振り返る時、どんな感想をもたれるのでしょうか……。
  さて、街にあふれる初々しいフレッシュマンの方々は、緊張の日々が続いていることでしょうが、少しがんばればすぐにGWがやってきますから辛抱ですね!
  自営業の私は依然として、台東区内の自宅とその周辺で過ごす単調な日々の繰り返し。わが街は、4月23日の東京都区議会選挙戦で連日、騒々しさが続いています。
  4月の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」の「オンライン がん哲学メディカルCafe」(以下、「がん哲カフェ」と表記)は、選挙カーがあちこちでかしましい声をあげている4月17日に開催されました。がん哲カフェがオンラインの形をとったのはコロナがやってきてすぐですが、この日は前月同様、主宰者の宮原富士子さんのオフィスに現地スタッフ数人(私も!)が参加し、全国津々浦々から参加する常連メンバーがオンライン参加するハイブリット開催となりました。

 以前ご紹介しましたが、主宰者の宮原富士子さんは一般社団法人がん哲学外来の理事を務めておられ、法人の事務局を引き受けている関係上、法人のHP更新も担当しています。そのHPのコンテンツのひとつに「がん哲学教育講座」というものがあります。このコーナーでは、同じく一般社団法人がん哲学外来の理事で教育担当を務める「大阪がん哲学外来 メディカルカフェあずまや」主宰者の東英子医師が、有意義な情報を発信されています。
  この日は、その中の「がん哲学外来カフェ学び講座 基本編」→基本⑥を中心に学び直しの時間を持ちました。東先生は、「広告・宣伝」について、カフェ情報を広く知らせるために広告をだしたり宣伝したりする際の基本的な注意を、宮原さんは「カフェを主宰する方にとっての個人情報保護とは」という題目で話されました。

※一般社団法人がん哲学外来 http://gantetsugaku.org/learning/

 個人情報問題がうるさくいわれだした時、私は母校の同窓会事務局のボランティア活動をしており、会員情報の取り扱いにナーバスになったことを覚えています。あらゆる機関でもそれまで当然のように存在した名簿といったものが作れなくなりました。あれから20年以上の歳月が経過しましたが、現在は徹底されているのでしょうか。守らなければならないものですから、企業や団体の公式HPでは「プライバシーポリシー」「個人情報保護」などのコーナーを設けて、基本スタンスを公表しています。 がん哲カフェには、がん患者さん本人、そのご家族、ご遺族、がん治療に従事する医療者、介護従事者などがんに関係する方々が集います。とりわけ、がん患者さん本人は、自身のがん闘病にナーバスな感情をもっておられ、罹患していることを隠されている方も少なくありません。それでもカフェに集うメリットを感じて足を運ばれるわけですので、当然ですが個人情報守秘をカフェ関係者全員が徹底しなければなりません。
  現在は、ブログ、FB、ツイッターなど簡単に自分の思いを発信するツールが多くありますが、何気なく個人情報をかきこんだだけでも、時に本人の意思とは裏腹に(意図的なケースもあるでしょう!)拡散し、誹謗中傷などのトラブルを招いてしまいます。

「子どもじゃないんだから、そんなこと理解しているわよ!」という思いを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、忙しい時や疲労して判断力が鈍っている状態ではうっかりやってしまうリスクがあるのは確かです。飲酒したら車の運転をしないように、弱っている時は注意が必要、自身を整えることが大事です。
  カフェには常連スタッフだけでなく、常に新しい方々が足を運んでくれます。当然ですが、人はそれぞれ固有の考え方をもち、生活環境も個性も違います。それだけに、最初が肝心なのは言うまでもありません。高い倫理観を参加者全員がもち、一人一人が意識的に気を付けることでコンプライアンス意識が高まります。

 考えてみれば、他者の情報を安易に公開する必要などありませんよね。他者の悪口ばかりいう人の話を聞いていると(あまり聞きたくありませんが)、次第に気分が悪くなりませんか? 悪い評価につながる噂話の場合、たいてい個人的な感情がはいっていることがわかります。この手の発信者はおそらく、SNSなどのツールでも同じようなことをしているのではと感じてしまいます。SNSをやるのは個人の自由、発信するのは知られても問題ないと思う自身の情報だけに限定した方が賢明です。

 私事ですが、最近、友人から紹介されて、はやりの「チャットGPT」をラインで試しました。長々とした質問に迅速に答えてくれて、とても刺激的な時間をもちました。次は、女性誌部数ナンバーワンを誇る媒体の公式サイトにアクセスし、「脳トレ」にチャレンジするつもりです……とつらつらと書いた情報は誰かの目にとまる可能性があるけど問題ないかな?
 ……と、まずは、考えてから発信することが大事ですよね。もちろん、全然問題ありませ~ん!)

 

※一般社団法人がん哲学外来 http://gantetsugaku.org/learning/

【2023/4/17 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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