毎日猛暑が続き「これだけ辛抱しているのだから、じきに涼しくなるはず」と自分を励ましておりましたが、7月22日、ニュースで関東甲信地方が今頃梅雨明けしたことを知り愕然としました。とっくに真夏日が続いているのに本格的な暑さはこれから!ということ。これ以上暑くなるのかと思うとげんなりしてしまいますよね。酷暑の影響で車トラブルやスマホ熱中症が多発しているようですので注意が必要です。そして遂に時代は「地球温暖化」から「地球沸騰化」へと変わってきたようです。人体が暑さに耐えられないように地球も同じ、その悲鳴が聞こえるようです……。
その翌日、7月23日(日)、「第11回がん哲学外来市民学会浅草大会」(一般社団法人がん哲学外来/がん哲学外来市民学会主催)が、台東区にある雷5656会館ときわホールを会場にしてリアル開催されました。
会場を変えて毎年開催されているこの市民学会、第11回大会を担当したのは、「勝海舟記念下町(浅草)がん哲学外来」(以下、「がん哲カフェ」と表記)主宰者の宮原富士子さんで、大会を盛り上げるために普段から活動を共にする浅草かんわネットワーク研究会、NPO法人HAP(代表/宮原富士子)が後援にあたりました。
「危険な暑さ」と表示される中、お客様は足を運んでくださるだろうかという不安で一杯でしたが、がん患者さん、その家族、がん治療に携わる医療従事者、介護従事者などが大勢集まり盛会となりました。
この日の大会は「いい覚悟で生きる!! がん哲学と言葉の処方箋」をテーマに掲げ、がんに関わる方々と共に、生きることを語り合い、言葉の処方箋でつなぐがん哲学の憩いを実感していただくことを目的としました。当日のプログラムは次の通りです。
*******************************
〇オープニング(勝海舟記念下町浅草がん哲学外来テーマ曲 「ほっとけ」他/わをん)
〇開催の言葉
―― 樋野興夫氏(一般社団法人がん哲学外来名誉理事長)
〇一般社団法人がん哲学外来 その歩みと今後(社団の活動紹介)
宗本義則氏 (一般社団法人がん哲学外来理事長、福井県済生会病院副院長)
〇基調講演1
―― がん哲学外来へのいざない「浅草の活動を通じて得た人のつながりとは」
宮原富士子氏(勝海舟記念下町(浅草)がん哲学外来主宰など)
〇基調講演2
―― がん患者さんに知ってほしい地域の社会資源/行政の制度
天野慎介氏(グループ・ネクサス・ジャパン理事長/ 社団法人全国がん患者団体連合会理事長)
〇がん哲学と言葉の処方箋
歴史と哲学の視点から 歴史の登場人物紹介
江川守利氏(渋沢栄一記念王子がん哲学外来主宰、吉田松陰記念北千住がん哲学外来メディカルカフェ)
東英子医師(あずま在宅医療クリニック(大阪)院長)
~~~~休憩~~~~~
〇特別講演1
――「患者さんとお医者さん」
安達昌子氏(医療法人社団律昌会さくら醫院院長)
〇特別講演2
――「浅草北部 山谷の人々のくらしの今と生き方から学ぶ」
吐師秀典氏(特定非営利活動法人友愛会理事長)
〇特別講演3
――「緩和ケアがふつうにある暮らし(台東区に生きる)」
廣橋猛氏 (浅草かんわネット研究会理事長・永寿総合病院緩和ケア医)
〇ガマの油口上
―― 高峰げんごろう氏(演芸・大道芸能家)
〇浅草かんわネットワーク研究会の仲間たちの紹介
〇クロージング
―― 宗本義則氏 (一般社団法人がん哲学外来理事長、福井県済生会病院副院長)
〇次期大会長ご挨拶
―― 次期大会長 武藤倫弘氏 (京都府立医科大学分子標的薬予防医学教授)
〇最後のご挨
拶―― 宮原富士子
****************************
本大会で大会長を務めた宮原さんは、「自分のいるべき場所を見つけ、あるがままの自分を受け入れてくれる人と出会うことが大事」、さらに「人と繋がることで病気になった不安もなんとか乗り越えられる」と力説します。その支援の一つががん哲カフェという対話・癒しの場といえるでしょう。チャットGPTでは得られないものに気づくのではないでしょうか。
自身もかつて苦しいがん闘病生活を送った天野さんは、その経験を通して現在はがん患者さんのための支援活動を行っておられます。そして、「自立とは、助けてほしいといえること」と声高に主張されました。
余談ですが、先日、某新聞の一般の方々からの投書が目にとまりました。そこには、「手術をする時に必要な手術同意書には身内しか認められず、独り者で該当者がいない自分は困り果てた。また、家族はいるものの疎遠で依頼しにくい、頼りにしている友人に頼みたいけど病院が許可してくれず困った」云々という内容でした。おひとり様社会の現実に即した対応をしてほしいものです。
このレポートを福岡で開催されている「世界水泳2023」を見ながら書いています。日本選手団の中には、がんを乗り越えて代表に復帰した池江選手の姿がみられました。さぞ苦しく不安な日を過ごしたことと思います。
私は浅草のがん哲カフェと関わり7年目に入りました。最初は「がん患者の家族」でしたが、その家族を見送り、現在は「元がん患者の家族」となり、がん哲カフェのスタッフとなりました。また、その間に開催されたカフェやシンポジウムなど通して多くの方々と交流することができ、そのおかげでこの大会に参加した人のほとんどと面識があります。
参加された一般のお客様の中にはがんに罹患されている方が多いですが、この日のプログラムに参加した人の中にもがん経験者が多くいらっしゃいます。がん患者さんを日ごろ診察し励ましている医師や看護師であろうと、がんに罹患しますし他の病気にもなります。
永遠に変わるものは何ひとつなく、時は着実に歩みを進めているという事実……。だからこそ、一期一会を大切にして今日という日を生ききることが大事だと改めて思いました。
※参考:一般社団法人がん哲学外来 http://gantetsugaku.org/learning/
【2023/7/29 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)