2月4日~20日、コロナ禍の中、北京で開催された冬季オリンピック。昨年夏に東京で夏季オリンピックが行われたばかりなので連続開催に違和感はあるものの、始まってしまうと自称スポーツウーマン(?)の私はやはりハマってしまいました。東京に続き、北京でも日本選手団はたくさんのメダルを獲得し喜ばしい限りです。
念願のメダルをとった選手、有力視されながらもメダルなしに終わった男子フィギュアスケートの羽生選手や女子スピードスケートの小平選手など、ここに至るまでの道のりを思うと「お疲れ様」の言葉しかみつかりません。
2022年2月度の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」の「オンライン がん哲学メディカルCafe」(以下、「がん哲カフェ」と表記)は、2月14日、大会が後半戦にはいった日に開催されました。また、この日は色とりどりのチョコレートがスーパーやでデパートなどあちこちに並び、それを見るだけでワクワク楽しくなる「愛の日」でもありました。
ところで、北京オリンピック大会一番の関心事はロシアの女子フィギュアスケートのカミラ・ワリエラ選手のドーピング疑惑だったのではないでしょうか。ショートプログラムで首位についていたものの、フリーで幾度も転倒し4位におちメダルを逃してしまいました。仮にメダルを獲得してもドーピング問題で失格の可能性がありましたから、そういう意味で今回はこれでよかったのかもしれませんね。
問題は、こんな年若い選手が独断でリスクをおかしてまでドーピングをするはずがないということです。言うまでもなく、指導する側の人間が組織的に関与していることは想像に難くありません。今大会で「渦中の人」となり、幾度となくバッシングをうけた選手の精神的ダメージは大きく、薬をいろいろ服用しているならば副作用を強めてしまう可能性もあり、そのうち身体に症状が現れてくることでしょう。
浅草がん哲カフェの主宰者で薬剤師の宮原富士子さんは、女性アスリートと生理の問題やスポーツファーマシストについて、常日頃、意見を発信しています。数年前に行われたある関係者へのインタビューでは、スポーツファーマシストとドーピング問題について次のように発言しています。
「薬剤師は女性の多い職業である。ジェンダーの視点では、月経移動のわかる薬剤師とドーピング異常がわかる薬剤師がどこかで合体できれば、女性アスリートの健康支援は強力になるはずだ」。
針の筵となったワリエラ選手を観客席で心配そうに見つめていたのは、前回大会の金メダリストのサギトワ。19歳の若さで今回は選手ではなくキャスターとして大会に参加しているのを知り、ロシアの層の厚さを認識しました。つまるところ、ロシアには若く優秀な選手は履いて捨てるほどいるということでしょうか。
オリンピックが終わり、ワリエラ選手はロシアに戻っていきました。
そして、現在、コロナ禍よりも話題を集めているのが、ロシアのウクライナ侵攻です。不穏な動きがあり気になっていたところ、2月25日の新聞の一面となり、この原稿を書いている3月8日現在もロシア軍は攻撃をゆるめません。世界を敵にまわしてもプーチン大統領の暴走(狂気!)はとまらないという驚愕の事態が生じています。
コロナに続き、今度は戦争が日常にはいってきました……。
それはウクライナの民だけの日常ではありません。両国がこんな非常事態時に戦争をすることで、コロナとの闘いは言うまでもなく物価上昇や物流などあらゆる面で世界的に影響がでてきます。コロナの収束を世界中の人々が我慢し願っているさなか、人災(戦争)なんてもってのほか、そんなことをしている場合ではないのにです。
日本でもウクライナ支援の動きが活発化しています。すでに犠牲者がでている中、戦火を逃れるために国外に移動する人たちの姿が連日、報道されています。世界VSロシア(プーチン大統領)との闘いです! 救援物資が一刻も早く必要な人に必要な量、届きますように。私たちは、この戦争をやめさせるためにできることをしたいですよね。
2月14日夜のがん哲カフェでは、前回同様無題で、参加者の近況についてあれこれについてフリートークをしました。亡き人を偲び涙にくれる人、仕事の愚痴をこぼす人、親しい人ががんになり悲嘆にくれる人……。誰もがロシアとウクライナが戦争をするなど予想もしていませんでしたから、「戦争」「ロシア」といった言葉がでることはありませんでした。
世界平和が揺らぎ閉塞感に満ちた時代を生き抜くためには、本音で語り合える人をもちパワーをもらったり与えたりして互いに助けあう「近所力」をそれぞれが身につけることが大事です。そして、起きてもいないことをあれこれ考えず、「なんとかなるさぁ~!」のプラス思考でサバイバルするに限ります。マイナス思考はストレスをつれてきますので、明日は、今日よりよくなると信じて、今日という日を大切に過ごしましょう!
<参考> ★スポーツファーマシスト(2019年) 正しく服薬指導しスポーツとアスリートを守るのが薬のプロの社会的使命だ。 スポーツファーマシストに関心を示す若い薬剤師が増えているが、薬局の中では薬局でアスリートを支援し、地域の中では市民スポーツ大会などで支援できる可能性があり、活躍の幅は大きい。 薬剤師は女性の多い職業である。ジェンダーの視点では、月経移動のわかる薬剤師とドーピング異常がわかる薬剤師がどこかで合体できれば、女性アスリートの健康支援は強力になるはずだ。
【2022/2/14 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)