勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

コロナの時代を生き抜く      
~使命を生きるということ~

 猛暑と日本各地をおそった異常な集中豪雨も落ち着き、秋風が立つようになりました。このまま涼しくなりコロナも沈静化してくれるといいですよね。冷房をつけなくていい日がくるのをどれほど待ち望んだことでしょう。猛暑の夏はコロナも加わり「堪え忍ぶ夏」でしたので嬉しい悲鳴をあげています。
  9月になって思ったことは、あの世界を震撼させた「9・11 世界同時多発テロ」から20年経過したのだという事実に驚き、再びイスラム主義勢力タリバンが政権を握ったと知り愕然としています。2001年当時、私は某媒体に出向していて機関紙の編集作業中にあまりにも劇的な映像をみてしばらく呆然としたことを覚えています。映画のワンシーンのようなことが現実に起こるなど誰が想像できるでしょうか。すぐにアフガニスタン特集をくんで映画や本などのレビューを関係者に執筆していただいたこと、興奮して眠れなくなったこと、イラン人監督のモフセン・マフマルバフ監督の映画「カンダハール」、著書「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」に触れ、衝撃をうけたことを昨日のように思い出します。
アフガニスタン情勢については、女性や少数勢力の人権や貧困の問題を最重要課題とする社会になるように、国際社会が引き続き支援の手をさしのべる必要があるのは言うまでもありません。 日本国内の政界も、現総理が退陣を表明し総裁の椅子をめぐって俄に騒々しくなりました。国家のリーダーとしてやるべき事はたくさんあります。使命をまっとうしてくれる適任者が選ばれることを切望します。

 そんな中、2021年9月13日に開催された「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」の「オンライン がん哲学メディカルCafe」(以下、「がん哲カフェ」と表記)が開催されました。この日は、ユネスコで途上国や国内の教育支援活動を行う他、コーチ、ストレングスコーチ、編集者、ライターとしても活動する寺尾真樹さんが「がんで逝った夫からのバトン」という題目でお話してくださいました。
 愛する者を失い悲嘆にくれても、自分には4人の子どもを育て上げなければならない。ご主人と一緒に活動していたユネスコの活動もやり残したことがたくさんある。自分には、やるべきことがある……。バトンを受け継いだ寺尾さんの精神的支柱となったのは「使命」という言葉だったことでしょう。

 浅草のがん哲カフェの正式名称をつくったメンバーの江川守利さんは、無類の歴史好き。とりわけ、勝海舟の生き方に惚れ込んで「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来」という名称が誕生しました。そんな江川さんが、勝海舟以外に目下心酔する幕末の人物では、天璋院篤姫だそうです。この日は、篤姫の生き様を例にあげ意見をのべてくれました。思い入れを綴ったブログは、このカフェの前日に更新されていますのでそのままご紹介させていただきます。

 

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ブログ<笑顔の江川>2021-9-12

「逃げなければ見失わない ~歴史上の人物の生き方を見る~」

 人間は窮地に追い込まれると逃げようとします。しかし逃げてしまえば窮地に追い込まれた問題の本質を見失います。そのことを悟らせてくれる歴史上の人物と言えば、私は勝海舟と天璋院篤姫をあげます。二人とも幕末争乱の時期から明治維新を生き抜いた人物ですが、二人に共通しているのは窮地に追い込まれても逃げないということです。むしろ窮地に追い込まれると、そこに身を置き新しいこと・珍しいことに気づくと楽しんでいるところも見受けられます。
  勝海舟は幕末に幕府内部から崩壊していく状況の中で幕臣として敵対する薩長と相対し崩壊する姿を体制内で身をもって体験して、そこから日本の将来はこうあるべきと敵味方双方と交流しながら見出していきました。
  天璋院篤姫も薩摩から将軍家に嫁ぎ崩壊していく幕府をその中心に身を置き討幕を目指す薩摩から里帰りの求められても逃げずに、どうすれば徳川家が存続できるか考えて行動しました。将軍が若くして次々に亡くなり最後の将軍徳川慶喜も戦いに敗れて逃げ帰っても、自分しか動ける人間がいないと奔走しました。
  この二人の行動から窮地に追い込まれても逃げずに動けば、自ずと道は開けてくるという生き方が見えてきます。
  これこそが現代の混乱を生き抜く生き方であると思います。
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 篤姫は薩摩藩の御姫様といっても、分家の出で、本来ならば将軍家の御台所になるほどの身分ではありませんでしたが、時の権力者・島津斉彬にみこまれ養女となり、使命をもって政争の渦の中に放り込まれました。武家の姫君たちはお家のために政略結婚するのは珍しくありませんでしたが、めまぐるしく時局が変化する中で、24歳で未亡人となり、役目をおえて第二の人生を送るという選択もできたのにそうしなかった……政治的センスをもった女性だったことは間違いないようですね。  
  大事な人を失った後、残された者はどう生きるべきか。やるべき事は人それぞれです。やる事をやったら、おのずと“その時”がくるのでしょう。故人の思い(意志)をどう受け止め、バトンを繋いでいくか。
  痛みを伴った体験に耳を傾けたり、歴史上の人物の哲学に触れたりすることで、自らの進むべき道やお役目に気づいていくことでしょう。12月に予定している寺尾さんの「強み講座」も楽しみです。なかなかコロナとの闘いに決着がつかず閉塞感に満ちていますが、秋の夜長のいい学びの時間でした。

★寺尾真樹さんHP   
ことばプロデュース|言葉で伝える、個と場をつくる (kotoba-produce.com)
★江川守利さんブログ     
笑顔の江川 - にほんブログ村 (https://blog.goo.ne.jp/egawa_moritoshi)

【2021/9/13 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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