勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

生き方の話をしよう~!

 短い秋を実感するには美しい紅葉を目にやきつけるに限りますが、東京の紅葉の見頃は11月下旬から12月初旬予定とのことで、もう少しの辛抱が必要ですね。11月にはいり、テレビをつけると毎日めにするのは、高市首相とクマ関連のニュースです。日ごと支持率をあげている高市首相はともかくとして、クマによる人身被害がこれほど深刻化するとは誰も思わなかったのではないでしょうか。
  「令和のクマ騒動」とよばれるこの問題は気候変動に起因すると思いますが、それぞれの生活圏に距離があったからこそ共生が可能だったわけで、私たちの日常にクマがはいりこんで静かな生活を送れるとは思えません。犠牲になった方々の、無念の死を無駄にしないように一刻も早い解決を望むところです。

 毎月開催の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来哲学メディカルCafé」(以下、「がん哲カフェ」と表記)11月度は11月10日夜、オンラインとリアル参加のハイブリット開催となりました。
 この日オンライン参加したのは、東京、山梨、和歌山、大分などで、今回初めて参加される方のために、主宰者の宮原富士子さんが、浅草のがん哲カフェの歩みを資料を使い説明し意見交換する時間となりました。
 ところで、先日、本年度の「新語・流行語大賞」ノミネート語30が発表になりましたよね。先述したクマ騒動では「緊急銃猟/クマ被害」、「令和の米騒動」から「古古古米」、新首相絡みで「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が選ばれたことが印象に残りました。毎年この時期になると一年を振り返り選ばれるわけですが、すごく遠い出来事のように思えるものもあり懐かしさを感じてしまいます。同じように、浅草のがん哲カフェに参加して9年目となる私の場合、宮原さんの話を聴いていて時の重みを感じた次第です。

 がん治療に携わる医師の多くが、「がんで死ぬのも悪くない」と公言されています。心臓や脳系の病気と比べて、一般的にがん患者の方が長生きできるからです。長生きできますから、仕事を続けるのも旅行にいくのも(医師の許可次第で)可能になりますし、やがてくる最期の時に備えて死に支度をする時間もあります。そういうメリットは確かにありますが、がんと共に生きる時間が長いからこそ、肉体的・精神的な苦しみも長くなることは否定できません。時間があると色々なことを考えてしまいがちですので、哲学が必要となるわけです。クマのいる日常は可能だとは(私は)とても思えませんが、かつて恐れられていたがんと生きる日常は、医療技術の進歩や医療・介護サービスの普及などにより年々フツーになってきているようです。

 長い人生では変わらないものは何ひとつありません。今年、日本では女性初の首相が誕生しましたし、日本を代表する航空会社ではスニーカーが解禁になりました。パンプスでの勤務は辛いだろうとずっと(個人的に)思っていただけに、さぞCAさんたちは喜んでおられることでしょう。
  ひと昔前では、日本人選手が米大リーグで活躍するなど誰も想像できませんでしたが、現在は違います。この原稿を書いている(11/14)、ドジャース所属の大谷翔平選手が3年連続4度目のMVPに輝きました。ホントにすばらしい快挙です。

 がん治療に関しても、さらなる進歩をとげ、ほとんどの方々ががん患者となり、がんとの共生をあたりまえに思える時代がくることでしょう。それだけに、薬や治療の話よりも、どう生きるかといった“哲学する時間や場所”が必要になると思っています。 東京では季節性インフルエンザ流行警報がだされました。11月中の発表は16年ぶりとのこと、どうか気をつけてお過ごしください。

※一般社団法人がん哲学外来 http://www.gantetsugaku.org/index.php

【2025/11/10 がん哲カフェ】(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café