勝海舟記念下町浅草がん哲学外来Café

選ぶとは、自分の人生に責任をもつこと

 毎月開催の「勝海舟記念 下町(浅草)がん哲学外来哲学メディカルCafé」(以下、「がん哲カフェ」と表記)2026年6月度は6月29日夜、7月度は7月27日夜、台東区内にあるホテル内のカフェで開催されました。当日の議題は次の通りでした。

【6月29日】
人は、十分で適正な情報を得て自分のことは自分で決めることができる ~親の介護を考える~

【7月27日】
○勝海舟が現代の浅草の在宅医療を見たなら ~幕末の構図と重ねて考える「レッドオーシャン」への警鐘
○活動の根源にある「勝海舟らしさ」~浅草の歩みと「勝海舟ならどうしたか」~
○がん哲学外来の仲間(愛知県)だった金井愛さんのメッセージを考える

 今年7月に厚生労働省が発表した令和7年の「簡易生命表」の概況によると、日本人の「平均寿命」は、世界的にみると女性は第1位(87.33歳)、男性は7位(81.35歳)という結果で、男女ともに依然として世界有数の長寿国です。しかしながら、健康上の問題を抱えたまま(寝たきり、日々の生活に支障をきたす精神的・身体的疾患を抱えている)の状態であるなら、「健康寿命」は低いと言わざるをえません。長寿大国に求められるのは、ただ長く生きることではなく、心身の正常な機能をたもったまま年齢を重ねて自分のことが自分でできる状態で、可能な限り長く生きることです。寝たきりではなく、自分の足で好きな場所に行くことができ、自分で食べたいものを作り食べることができる……そんな状態を可能な限り維持できるように努力していきたいですよね。

 この日も主宰者の宮原富士子さんが内容たっぷりのテキストを用意し、「親の介護」にフォーカスして話し合いましたが、最近はがんや脳梗塞などの脳疾患に罹患する若い世代の方々が増えていることから、親どころか自分自身の介護への備えが必要だと考える方は少なくないのではないでしょうか。親(や自身の介護問題)は、“いつか”ではなく、“今日”もしくは“明日”始まるかもしれず、特定の方にだけおこるのではなく“誰にでも起こりうる”深刻なもので人生のターニングポイントとなります。

 この日のテキストでは、「考えてみる“言葉”と“気持ち”」が印象的でした。例えば、介護をうける場合、サービス業者が家にはいることになりますが、表向きの言葉として「家に人がはいるのは好きじゃない」かもしれませんが、本心は「ここは私の大切な場所、自分の生活を否定されたくない」かもしれません。 現在はなんでもかんでもビジネスに結びつける傾向がありますが、介護サービスで優先されるべきは、「支援とはその人の誇りと人生を守ること」ということを忘れたくないものです。

  7月の「勝海舟が・・・」は、主宰者の宮原富士子さんがAIと共に作成したもので、勝海舟の事績から考える創作的・倫理的考察です。膨大な情報と時間を費やしたであろうテキストは示唆に富むものばかりでした。字数制限があるため全部をご紹介することが残念でなりません。二つだけ選んだものは、次の通りです。

 「選ぶとは、医師に勝つことでも、医師に従うことでもない。医師と共に、」自分の人生に責任を持つことである。」(勝海舟の事績から構成した創作的な言葉) 「勝海舟記念とは、過去を記念する名称ではなく、「いま、この人のために、争わずに何を動かせるか」と問い続ける姿勢である。」

  7月のがん哲カフェで話題になった金井愛さんの訃報。金井さんは20年以上のがん闘病を経て52歳の若さで亡くなられました。実際にお会いしたことはありませんでしたが、がん哲絡みのオンライン講座などで2、3度お話したことがあり、精力的な活動ぶりに感心しておりました。人生百年時代において50代前半での死ときくと誰もが「お気の毒に、可哀想・・・」とつぶやいてしまいがちですが、“可哀想な死”と思われたくないと言い放った金井さん……。その生きた証が、彼女と関わってきた多くの方々の言葉と共に一冊の本になりましたのでご紹介します。

※「今の私をギュッと抱きしめて、全身がん12年 金井愛さんの幸福」     
地域共生ネットワーク東海編  https://cknw-tokai.com/1039/

 同日、人気作家の東野圭吾さんが大腸がんのために68歳で亡くなられたことを知りました。膨大な著作をもつ東野さんの作品を読んだことがない方でも、テレビや映画などでその作品に触れたことはあるでしょう……。これだけの読み応えある数多の作品を残しただけに、作品群を通して多くの方々の人生に時代をこえて影響を与え続けることでしょう。金井さんの死も、同じだと思います。……生きた、愛した、闘った……!

【2026年】
開催時間/18:30~20:00(参加費/無料)
開催場所/OTHER SPACE Asakusa 1F Café(台東区浅草3-4-10)
3/2(月)、4/27(月)、5/25(月)、6/29(月)、7/27(月)→終了、
8/31(月)、9/28(月)、10/26(月)、11/30(月)、12/21(月)、

【2027年】
開催時間/18:30~20:00
開催場所/OTHER SPACE Asakusa 1F Café(台東区浅草3-4-10)
1/25(月)、2/22(月)、3/29(月)


※各地のがん哲学外来カフェ  https://gantetsugaku.org/cafe/

(文・桑島まさき/監修・宮原富士子)

 

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